コンセプトを考える

プロダクトデザイン コンセプトの考え方

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コンセプトを考える
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デザイン全般に言えることですが自身の提案の「何が良いのか」、狙いは「何か」。このような根幹を成すのがコンセプトです。
コンセプトが曖昧である提案には説得力伴いません。
コンセプトをどう考えれば良いのか、路頭に迷っている人のヒントになるよう、コンセプトの考え方を
まとめましたので、良かったら参考にしてみてください。

アウトプットに至るまでの考え方・思想を大切にしよう

プロダクトデザイナーになるためにはデザインの造形力もさることながら、アウトプットに至るまでの考え方もめっちゃ大事です。造形力は後からでも身に着けられるので、学生生活の序盤は考え方や思想を大切にしてデザインをしましょう。

現場の採用担当の方はアウトプットはもちろんのこと、アウトプットに辿り着いた根本的な考え方や背景にも注目します。

アウトプットと考え方はセットです。良いアウトプットには良い考え方が伴わないと、採用の場では全く評価されません。逆に良い考え方ができていれば、アウトプットがいまいちでも評価される事はあります。

どんな考え方が良いのか?

考え方で大切なのは「誰の、どのタイミングの、どんな暮らしを、豊かにしたいか」という視点です。モノは人のために作られています。そのプロダクトを通じて、どんな体験ができるか?という考えを持つ事が大切です。

人と人の関係、人とモノの関係、人と街の関係、人とモノと街の関係、ライフスタイル、情緒的な視点など考え方の美しさにも配慮しましょう。

事例「座りやすい椅子」の提案

事例として、前述の考え方が抜け落ちてしまっているコンセプト提案を挙げてみます。「座りやすい椅子」をコンセプトに提案をするとしましょう。

世の中の椅子には使い勝手において様々な課題がある。そんな視点から、立ち上がりやすさ、座りやすさ、背もたれが体を包み込む感じなど、色々なアイディアが生まれてきますね。そこでユーザビリティに優れた「座りやすい椅子」をコンセプトにデザインを進めます。制作したモックアップも非常に座りやすく、立ち上がりやすい椅子に仕上がりました。

皆さんは、この椅子のデザイン評価がどうなると思いますか?これがプロダクトデザイナーの採用試験だった場合、恐らく良い結果は得られないと思います。なぜでしょうか?

誰のための「座りやすい椅子」なのか

考え方で大切なのは「誰の、どのタイミングの、どんな暮らしを、豊かにしたいか」ということです。これは機能的な側面でしか物事を捉えていない事象です。

この事例に、以下のような背景が付け加えてられいた場合、「座りやすい椅子」の提案はどのように変化するでしょうか。

私は祖母と父母弟の5人暮らし。祖母は腰が悪く長時間座っていられないため、夕食後の家族団らんに参加することができません。その結果、自分の部屋で寝て過ごす時間が多く、寂しい時間をすごしています。そんな祖母でも家族との時間を多く過ごせるように、座りやすく立ちやすい、長時間座っていても疲れない抱擁感のある椅子が必要と感じ、「座りやすい椅子」をコンセプトにデザインしました。制作したモックアップも非常に座りやすく、立ち上がりやすい椅子に仕上がりました。

いかがでしょうか。きちんとした背景が加わるだけで提案にリアリティが出てきたと感じませんか?「祖母の、夕食後の、家族団らん時間を、豊かにしたい」といった提案者の思いが伝わってくると思います。

ターゲットユーザーが明確になるとアウトプットに独自性が生まれる

デザインは人を中心に据えて考えられなければなりません。こうした考え方ができるとターゲットユーザーが明確になり、アウトプットにも独自性がうまれてきます。

例えば、家族団らん時の「家族とコミュニケーションが取りやすくなる工夫」「会話以外にも新しいコミュニケーションが取れる工夫」「温かい気持ちになれる素材」など。家族団らんの時間をより楽しむためのアイディアがどんどん生まれてくると思います。※たくさん出たアイディアは解決したい課題の本質に立ち返って精査してね。

豊かにしたい人の体験が明確になると、そこから多くのアイディアが生まれ、結果的にアウトプットにも独自性が生まれてくるのです。

まとめ

  • アウトプットと同じくらい、もしくはそれ以上に考え方や思想が大切
  • 誰の、どのタイミングの、どんな暮らしを、豊かにしたいか
  • 誰の何のための「座りやすい椅子」なのか
  • 背景がしっかりしているとターゲットユーザーが明確になる
  • ターゲットユーザーが明確になるとアウトプットに独自性が生まれる

日常的にデザインを行っていると、プロダクトアウトの視点でしか物事が見えなくなり、「誰のためのデザインなのか」といった価値を見落としがちです。なので考えたデザインを友人に見てもらったり、社内のレビュー会で内容を共有し、フィードバックしてもらうことが大切です。常に「誰のためのデザインなのか」を意識しながらコンセプトを考えるようにしましょう。

最後までご覧いただきありがとうございます。次回をお楽しみに。

デザインについて学べる本

メーカーでプロダクトデザインの仕事に就く前と、就いてからも常に本から学びを得ていました。プロダクトデザインに関する本から、その周辺の商品企画的な本まで、参考になりそうなものは片っ端から読んでいました。

その中から参考になりそうな本などを紹介しています。

こちらの記事では有名デザイナーのプロダクトデザインに対する考え方が学べる本を紹介しています。色々な考えに触れてみることで、自身のデザイン哲学を磨いていってみてください。

こちらの記事ではアイディアを考えるための視点や切り口を広げてくれるような本を紹介しています。

こちらの記事は、商品企画的な少し固い内容ですが、リーンスタートアップの講習などで顧客ニーズや顧客価値を見つける際の参考書籍として紹介されることがある本を紹介しています。

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