プロダクトデザイナーは、モノをデザインするデザイナーという認識が一般的です。
ここ数年自身のデザイン領域を拡大し、モノのデザインの周辺にあるデザインにも取り組む中で、自身のデザインスキルに良い影響があったと感じることをご紹介したいと思います。
①良い影響があったデザイン
良い影響を与えたのは、コミュニケーションデザインです。もちろん、ここで指しているコミュニケーションは人と人が言葉や身振り手振りを介して意思疎通を図る行為ではありません…。
コミュニケーションデザインとは、写真やテキスト・イラストなどビジュアルを通して間接的に想いや意図を伝えられるようデザインすることを指します。カタログやWEB、コンセプト動画など外部へ発信する媒体のデザインを考えるデザイナーが担うことが多い分野です。
これが何の役立つかというと、自身のアイディアを伝えるシーンにおいて役立ちます。
授業での最終プレゼンテーション、企業インターンでの成果発表、特にデザインコンペティションの書類選考では大きな効果を得ることができました。
プレゼン資料が1人歩きしても、プロダクトに込めた想いや背景をビジュアルを通して感じさせ、伝えることがができるからです。
②デザインをより魅力的に見せるビジュアルのデザイン
近年ではビジュアルコミュニケーションに配慮しているプロダクトのカタログやWEBを多く見ることができます。
モノのスペックを推して機能を説明していく見せ方よりも、モノを生活に取り入れることで得られる暮らしや豊かさを感じるビジュアルが多い傾向にあると気づきます。
sharpのportable speaker lantan「any」は、
部屋に置かれた時の存在感や空気感が伝わるビジュアルになっています。穏やかで落ち着いた日々を過ごせそな印象をうけますね。
WEBのテキストを拝見すると、「普段の何気ない時間をリラックスタイムへと導いてくれます」とあります。
商品のコンセプトとビジュアルの雰囲気が合致しており、メッセージ性が強いWEBページになっています。
molnは「地球と旅する人たちへ」がコンセプトのスーツケースです。molnを抱えて旅している情景を映したビジュアルは、今までのスーツケースの見せ方と一線を画していると思います。所有したその後、旅先で使用しているイメージが分かりやすく伝わってきており、今までとは違う何かを感じられると思います。
行く先々での景観からカラーリングのヒントを得ているのも分かりやすく伝わりますね。サイズや体積、ポケットの数など機能的なことよりも、molnの世界観を全面に打ち出したWEBサイトになっています。
③ビジュアルを考えるうえでのヒント
せっかく良いコンセプト、良いデザインをしても情報を伝達する段階で、第三者に良さが伝わらない事があるとするならば、とてももったいないことだと思います。
ビジュアルを「どういった雰囲気でみせたいのか?」つまり、どう演出するかといったいったことが、ここでの論点になります。
私がチャレンジしたデザインコンペでは、次のことに注意しました。
A. プロダクトのコンセプト
コンセプトで述べていることがビジュアルで表現できているか?例えば、心地よさやリラクゼーションをプロダクトのコンセプトで語っている場合は、
ビジュアルがそう見えるかどうかが重要になります。言葉とビジュアルの表現が一致しているかどうかということです。この辺りは細心の注意を払ってチューニングすると良いと思います。
B. 使用シーン(場所)
プロダクトを使用している場所の選定です。プロダクトコンセプトが伝わりやすいシチュエーションを選択して、共感を得られるかが鍵となります。
C. 使用シーン(時間帯)
朝昼晩のどの時間帯なのかも大切です。自然光(太陽光)をライティングで設定する場合は、時間帯によって光の差し込む角度や、光の色温度が異なり、大きくビジュアルの印象が変わるからです。
D. カメラアングル
プロダクトをどの位置から、どの画角で捉えるかです。プロダクトを単体で捉えたいのか、
空間を含めてプロダクトを捉えたいのか?画角を小さくして、形がわかるようにするのか?
画角を大きくしてダイナミックに捉えたいのか?などカメラアングルはビジュアルづくりにおいて重要なポイントとなります。
④最後に
プロダクトのデザインもそうですが、プロダクトコンセプトに乗っ取ってデザインがされていかが大切なポイントとなる気がします。
デザインをするうえで、色々な迷いが生じることもあると思いますが、コンセプトに立ち返り、言葉の表現とビジュアルの表現が合致しているかどうかを点検し、
ブラッシュアップすればよいビジュアルに仕上がると思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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