皆さん、こんにちは。
番犬ジョージです。今回は「デザインとは何か」の後半部分について記事を書いていこうと思います。前半部分はこちら。
デザインについて知りたい方、勉強したい方、高校卒業後の進路でデザインを目指している方、進路がまだ決まっていない方など良かったら今後の参考にしてみてください。
デザイン思考とは何か
デザインが注目されるようになった背景には、やはりデザイン思考の流行があります。皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。「デザイン思考」を取り入れれば、ヒット商品が生み出せたり、イノベーションを起こせるとして、多くの企業で採用されていました。
デザイン思考とは、リサーチやデータ分析により市場のニーズを解き明かそうとしたマーケティングリサーチ手法に加えて、デザイナーが行ってきたモノやコトを作る手法を取り入れることです。当記事の前半部分で解説した「デザインの本質」にあたる部分です。ここで重要なのは「人」の実態を紐解くこと、模型を作って使用される場を再現しトライ&エラーを繰り返し仮説の精度を高めることであると書きました。要は、数字じゃなく「人」を見なさいよ、ということです。ですが現状は、デザイン思考の本質が理解されていなかったと感じます。デザイン思考と呼ばれる「かっこいい」言葉の響きが独り歩きしてしまい、アイディアを書いたポストイットをホワイトボードに貼り付けただけの、あたかもデザイン思考を実践しているかのような写真が多くのメディアや企業で発信されてたのはデザイナーとして残念です。
デザインとは人間活動の基本
広義の意味でいうと、人は生まれながらにしてデザイナーであると思います。趣味で行うDIY、彼女が喜びそうなデートプランの検討と実践、効率的な通勤経路の発案など、デザイナーである人もそうでない人も実は日常的にデザインを行っているのです。
前半部分で、「デザインの本質は、人を起点にモノやコトを発想し、人にとって価値あるものを創出・提供すること」とお話しました。これを先ほどの事例と照らし合わせてみるとどうでしょうか?DIYは人の暮らしの利便性や心の充足度を満たすために行いますし、デートプランの検討と実践は、彼女を楽しませるために行います。通勤経路の発案は、自身の限りある時間を確保するのに役立ちます。
デザインと聞くと、センスに溢れた優秀なクリエイターだけがするもと勘違いをされていますが、それだけが全てではありません。「人」にとって何が価値であるかを自らの頭で考え、実行し、より良い方向へと進むよう促すことがデザインなのです。そう考えるとデザインとは人間活動の基本であり、生きていくための根本的な考え方だと私は思います。
デザインを学ぶべき理由・その先の進路
私は大学進学や進路選択において、特に目指すものがなければデザイン学部がある大学や学校を行くのがよいと考えています。学校でデザインを学ぶということはデザイナーになること以外、就職先が見つからないと思っている方も多いと思います。デザイナーになることは一つの選択肢だと思いますが、近年はそれ以外の進路も多くみられます。例えば、メーカーの商品企画や商品開発・設計部門、デザインリサーチ会社、営業部門など多くの職種に就くことができます。
ではなぜ、デザインを学んだ人の就職先が職種をまたいで幅広くなっているのか?少し長くなりますが、家電メーカー「バルミューダ」を事例にお話しします。
2000年一桁代だった頃までは、テレビや冷蔵庫、パソコンなどまだまだ性能の発達が途上あり、スペックが改良され製品の性能が向上すれば市場に受け入れてもらえる時代だったのです。ところが、2010年代から性能が飽和し、どんなに性能をアップさせたとしてもユーザーにとっては目新しさがなく、どこのメーカーの製品を買っても一緒と思われるようになりました。この傾向は家電業界によく見受けられ、なかでも顕著なのはテレビだと思います。新しいテレビが発売されても、多くの人は「今のテレビで十分だし。」と最新技術が搭載されたテレビに飛びつくことはないと思います。
こんな家電市場に一石を投じたのが、超有名「バルミューダ」です。バルミューダが他の家電メーカーと決定的に違うのは「人を起点にものづくりをしていること」。もっというと、人の体験、五感に訴えかける商品の企画、開発、デザインを行っていること。新商品の打ち出し方にもその姿勢が表れていて「おいしく焼けるトースター」は話題にもなりました。従来の企業のやり方は、他社より早く焼けるトースターを作ろうとか、他社よりも多くの調理モードを搭載しようとか、それって本当に使う人が喜ぶの?という機能を盛り込んだ商品が数多くありました。
そんな市場にバルミューダは「おいしく焼ける」をコンセプトに商品企画をしていたのです。なんとも抽象的で確実性のないテーマだとは思いませんか?何を基準においしいとするのか、どんな機能を盛り込めばおいしくなるか、検討もつきませんよね。一般的に企業ではこのような不確実性が高く、数値的に目指す目標が曖昧なコンセプトが立てられることはありません。おいしいは数値的に表せなく、売れるかどうかも分からないから。でもバルミューダは、数値よりも人を中心にモノづくりをしているから、「おいしく焼ける」トースターにこだわったのです。これを実現するために多くの試行錯誤を重ねたと、webメディアで拝見しました。まさにデザインの本質であるトライ&エラーですね。
話を戻します。なぜデザインを学んだ人の活躍の場が増えているのか。理由は3つあると考えられます。
- 「人」を中心にしてモノやコトがもたらす価値を考察する素養があるから。
- いままでのやり方や慣習に捉われず「人」にとって何が嬉しいか基軸にしてを考えるられる素養があるから。
- 目の前にある数値だけが答えだと思わず、まずは「人」を起点に考察を始める習慣があるから。
企業もこの多様性で不確実な時代を生き抜いていくために、有能な人材を求めています。自身の頭で考え、当事者意識をもって行動をする、慣習に捉われない人材です。最近の企業は、年功序列で給与が決まり、勤続年数に応じて階級が上がっていく組織ではなくなってきているのです。有能な人材が真っ当に評価されるジョブ型雇用に代わってきています。真に会社の利益に貢献できる人材が求めれられ手いるのです。企業が変わっていく中で、人材も変わっていかなければなりません。
最後に
私はデザインを学んできた人は泥臭く粘り強い人が多いと思います。デザインを学ぶ場では、例外なくデザイン演習といった実践形式で、デザインの現場で活躍していた先生から評価を受ける機会があります。ダメ出しされたり、何度もやり直しをしたいり、折れてしまいそうな経験をしましたが、そういった経験も最後まで諦めないトライ&エラーの精神を鍛えてくれたのだと思います。
長くなりましたが、デザインの考え方はデザイナーだけのもでなく、今後の世の中を生き抜いていくために大切な考え方だと私は思います。進路に迷っている方、特にやりたいことが見つからない方、何となくで進路先を考えている方、デザイン系の学部を進路として選択してみるのはいかがでしょうか。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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